発達障害がある人にとって、「仕事に就くこと」「一つの仕事を長く続けること」はとてもハードルが高いことが多いです。
自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)の診断を受けている人はもちろんですが、「診断は受けていないけど特性はある」という人も、同じ理由で仕事が長続きしないことがあります。
今回は、発達障害のある人が仕事を続けられない理由3選をお伝えしようと思います。
「自分自身が仕事で困ってる」という人や、「同僚・部下に困った人がいる」という人に読んでいただければと思います。
「もしかしたら、発達障害の特性があるかも…?」と気づいたら、今後の対策ができるかもしれません。
理由①:空気が読めない・職場の人間関係がギクシャク
ASDの特性がある人の場合、全体を見て周りの状況を正しく理解したり、相手の気持ちを察したりということが苦手な人が多いです。
ADHDの場合は、周囲の状況を把握すること、相手の気持ちを察すること自体はできるのですが、思ったことをついうっかり口にしてしまうことがあります。
職場では、例えば次のようなトラブルが起きることがあります。
●誰に・何を・いつ話せば良いかが分からず、報連相ができない。
●職場の暗黙のルールを無視する。
●相手の質問や、会議の議題に対して、的外れな話をする。
●静かにした方がいい場面で、延々と話し続ける。
●同僚が困っていても助けない。
●職場の人間関係・ヒエラルキーを無視した言動をする。
発達障害の特性がある人の場合、自分が職場の空気を壊す言動をしていると気づくのが難しいことがあります。
そのため、本人は普通にマジメに働いているつもりでも、無自覚のうちに上記のような言動をして、いつの間にか職場で浮いてしまい、その職場にいられなくなってしまいます。
対策(発達障害当事者が心がけること)
●自分が「空気を読めない言動」をしているかもしれないと自覚する。
●周囲からの助言を素直に受け入れる。
対策(職場で取り組むこと)
●「これくらい常識でしょ」と思うようなことでも、ルールを明文化して、本人に直接伝える。
●なぜそれがダメなのか、職場でどんな悪影響があるのか、理由も併せて伝える。
理由②:「臨機応変」ができない
世の中にある仕事の多くは「臨機応変」「予定通りにいかないこと」の連続です。
大多数の人は「まあしょうがないか」と割り切ったり、「じゃあ予定変更してこうしてみよう」と切り替えることができますが、発達障害の特性があるとうまく対応できないことがあります。
例えば、こんな場面で困ってしまいます。
●仕事が締め切りまでに終わらない。
●仕事を締め切りまでに終わらせるための、スケジュールを立てられない。
●いくつか仕事がある時に、優先順位が分からない。
●予定の変更があっても、スケジュールを変えられない。
●定時で帰る予定が崩れるため、残業が許せない。
●人事異動など、職場の環境変化がしんどい。
対策(発達障害当事者が心がけること)
●仕事のスケジュールや優先順位を決める時に、上司や同僚に確認する。
●トラブルや予定変更があった時の対応方法を、事前に確認しておく。
●スマホアプリや手帳、カレンダーなど、自分に合ったスケジュール管理方法を見つける。
対策(職場で取り組むこと)
●「今すぐやってほしい仕事」を、その都度ひとつずつ任せる。
●できるだけ予定変更が少ない仕事を任せる。
●仕事の優先順位やスケジュールを本人と一緒に考える。
理由③:疲れやすい
発達障害がある人は、身体感覚や考え方など、色々な面で大多数の人と違っています。
中には、その違いが原因で、大多数の人ならダメージ0な出来事で大ダメージを受けて参ってしまう人もいます。
ダメージを受けてしまう原因はほんとに色々ありますが、例えば次のようなものがあります。
●感覚過敏…周囲の話し声や機械音、照明のまぶしさ、においなどに耐えられない。
●「空気を読む」「臨機応変に対応する」といった苦手なことを頑張りすぎてしまう。
●自分に合ったリフレッシュ方法が分からない。
●疲れていることに気づかず、いつの間にか体調を崩してしまう。
●(ASDの場合)人事異動など職場の環境変化に敏感で、不安になりやすい。
●(ADHDの場合)ずっと同じ環境で働くことがしんどい。
対策(発達障害当事者が心がけること)
●耳栓や調光レンズのメガネなど、感覚過敏を軽減する工夫をする。
●どんな時に体調を崩すか(体調を崩す前後にどんな出来事があるか)を把握する。
●睡眠時間と食事の時間を一定にする。
●今までと違うリフレッシュ方法を試してみる。(※やりすぎ注意)
対策(職場で取り組むこと)
●パーテーションを用意する、座席の配置を変えるなど、感覚過敏を軽減するための配慮をする。
●本人が得意なことを活かせるよう、業務内容を調整する。
番外編:障害に対する偏見
これは、本人の特性とはまた違う話ですが…。
今の日本社会にはまだ根強く残っているな、と当事者として強く感じています。
●障害を理由に退職に追い込まれる。採用を見送られる。
●障害があることを伝えたら、渋い顔をされる。
●自分に発達障害の特性があることは自覚していて、日常生活や仕事でも困っているが、診断は受けたくない。
などなど…
法律の面では、障害者雇用促進法や障害者差別解消法など整備が進んでいますが、発達障害当事者が働く現場では、まだまだ対応が追い付いていないのが現状です。
発達障害の特性がある人は、大多数の人が楽々できることが大の苦手だったりします。
でも、得意なことや興味があることを活かせれば、人の役に立てる、社会で活躍できるポテンシャルを持っています。
そんな「活躍の種」を見つけられる人が少しでも増えるといいなと思っています。



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