障害と仕事~将来の就労に向けて~

福祉の話

今回は、「障害と仕事」第2弾です。

前回の記事では、「一般就労/正社員」「一般就労/パート・アルバイト」「障害者雇用」「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」についてご紹介しました。
今回は、生活介護と、将来の就労に向けて利用できる福祉サービスについてまとめました。

生活介護

◎どんなところ?
日常生活で、常に介護が必要な人が、日中通うことができる場所です。
食事や入浴、排せつなど日常生活のサポートや、創作・リハビリ等の活動があります。
「働く場所」というより、「日常生活のサポートを受けたり余暇活動をしたりする場所」という意味合いが強いです。
事業所によっては、パンやクッキーを作って販売するなど、就労の場になっているところもあります。

◎メリット
★身の回りのサポートを手厚く受けることができます。
★事業所の体制や本人のニーズによっては、就労の体験ができることがあります。

◎デメリット
★基本的には「働く場所」ではないので、収入は0円です。

◎収入の目安
0円

◎サービスの利用料

就労移行支援

◎どんなところ?
障害により「今すぐ働く」ことが難しい人が利用できる制度です。
就職するために必要なスキルを身に着け、一般就労を目指します。
事業所の体制によっても差はありますが、次のようなスキルを身に着けることができます。

★ソフトスキル(体調管理や時間管理、コミュニケーション力など、働くために必要な基本スキル)
★ハードスキル(PC作業、製造、清掃、接客、梱包作業など、仕事に直結するスキル)

利用期間は、最長で2年間です。

◎メリット
★将来働くために必要なスキルを、幅広く身に着けることができます。

◎デメリット
★事業所によって身に着けられるスキルに違いがあるため、自分に合った所を見つける必要があります。
★利用できる期間が2年間までと決まっています。

◎収入の目安
0円

◎サービス利用料

区分収入状況サービス利用料
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村税非課税世帯0円
一般1市町村税課税世帯9,300円
一般2上記以外37,200円

就労選択支援

◎どんなところ?
2025年10月から始まる制度です。
実際に作業をする様子を見たり、面談をしたりして、その人がどんな働き方をしていくと良いかアドバイスをしてくれます。
今後、就労継続支援A型・B型を新規で利用する場合は、就労選択支援を受ける必要があるようです。
サービスの利用期間は基本的には1か月ですが、もっと時間が必要な場合は2か月まで延長されます。

◎メリット
★自分にどんな仕事が向いているかを知ることができます。
★特別支援学校高等部の生徒も利用できるよう、制度が検討されています。

◎デメリット
★サービスの利用期間中、収入は0円です。

◎収入の目安
0円

障害者職業センター

◎どんなところ?
どんな仕事が向いているか相談をしたり、仕事に必要なスキルを身に着けたりすることができます。
「ジョブコーチ」という制度を使うことで、働き始めてから、どうやって職場でうまくやっていくかアドバイスを受けることもできます。
各都道府県に、1~2か所設置されています。

◎メリット
★自分に向いている仕事や、今の職場でうまくやっていく方法などを知ることができます。
★必要に応じて、センターに通って仕事に必要なスキルを身に着けることができます。

◎デメリット
★各都道府県に1~2か所なので、住んでいる地域によっては通うのが大変かもしれません。

◎収入の目安
0円

◎サービス利用料
0円

ハロートレーニング(障害者訓練)

◎どんなところ?
国の政策の一環で、障害のある人が仕事に就くためのトレーニングをする制度のことです。
「職業リハビリテーションセンター」「障害者職業能力開発校」といった名前の施設があり、それぞれの施設によって学べる事(事務作業、調理、清掃、物流など)が異なります。
施設や選択したコースによっては、セルフマネジメントやコミュニケーション力など基本的なスキルを学べることもあります。

◎メリット
★仕事を始めるために必要なスキルを、概ね半年~1年間で、授業料0円で学ぶことができます。

◎デメリット
★施設によっては、教材費や資格を取るための受験料などが実費でかかる場合があります。
★利用するためには、学科や面接などの試験を受ける必要があります。

◎収入の目安
0円

◎サービス利用料
0円

ここまで、障害がある人の働き方の選択肢や、将来働くために利用できるサービスについてご紹介してきました。

法律的には、障害を理由に不採用にしてはいけないとか、合理的配慮を提供しなければいけないといったことが決められていますが、実際には現場での対応は追いついていないのが現状です。
ケースバイケースではありますが、雇用する側が「やって欲しい仕事」と働きたい障害者が「できる仕事」「やりたい仕事」のミスマッチ、雇用する側の知識不足や理解不足、働きたい障害者がどこまで「合理的配慮」を求めるかのさじ加減、どれも影響しているのではないかと思います。

時間はかかると思いますが、「障害がある人もない人も、一緒に働いて普通に生活していける」社会が作れるように、情報発信をしていきたいと思います。

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