今回は、児童発達支援について書いていきたいと思います。
前回は放課後等デイサービスについて書きましたが、制度的に、児童発達支援と放課後等デイサービスは共通点が多くなっています。
「放課後等デイサービスのことは知っているよ!」という方は、一番最初の「児童発達支援と放課後等デイサービスの違い」の項目だけ読んでもらえればと思います。
児童発達支援と放課後等デイサービスの違い
児童発達支援と放課後等デイサービスの違いは、利用者の対象年齢です。
児童発達支援は0歳から6歳(就学前)まで、放課後等デイサービスは小学1年生から高校3年生までが対象になっています。
どちらも「療育をする場所」というところは同じですが、利用する子どもの年齢が違うため、具体的にどんな療育をするか、というところにも違いが出てきます。
何をするところ?
児童発達支援(以下、児発)は、障害がある子どもを対象に「療育」をする施設です。
どんな療育をするのかは、事業所によって違いがあります。
制度的には、児発の役割として次の3つが挙げられています。
①子どもの最善の利益の保障…子どもの生活スキルやコミュニケーションスキルを伸ばしたり、保育園や小学校での集団活動に参加できるように支援します。
②共生社会の実現に向けた後方支援…保育園や幼稚園、進学する小学校との連携を図ったり、地域のイベントや遊び場に出かけるなどして、地域の方と関係を築いていく土台を作っていきます。
③保護者支援…保護者に寄り添いながら、子どもとの関わり方についてアドバイスをしたり、レスパイト(保護者が一時的に休養すること)のために子どもを預かったりします。
どんな人が利用するの?
0歳~6歳(就学前)の障害がある子ども、または障害の可能性がある子どもが利用できます。
保育園や幼稚園などとの併用ができるかどうかは、自治体によって対応が違うようなので、利用する前に確認が必要です。
「障害福祉サービス受給者証」を交付されると利用開始になります。
障害者手帳を持っていなくても、「このお子さんには支援が必要だ」と自治体が判断すれば受給者証を交付してもらえるので、グレーゾーンのお子さんも通える可能性があります。
いつ、どうやって通うの?
利用できる時間帯は事業所によって差があります。
個別で毎週1コマ1時間のようなところもあれば、午前中2~3時間のところ、午前中から夕方までのところなど…
事業所によっては平日しか通えないなど、利用できる曜日が限られているところもあります。
どうやって通うかも、事業所によって違います。
◎職員による送迎…ご家庭に、職員が車で送迎にうかがいます。
◎保護者による送迎…保護者が子どもを連れて、児発への送り迎えをします。
どんな職員がいるの?
それぞれの放デイにどんな職員がいるか、特に⑤~⑨のような人がいるかどうかは、施設によって状況が違っています。
「箸や鉛筆の使い方をOTさんに指導してほしい」「言葉の発達が心配だからSTさんに見てもらいたい」などのニーズがある場合は、その放デイにどんな職員がいるのかを確認するといいかもしれません。
①管理者
施設全体を統括する、施設の責任者。
②児童発達支援管理責任者(児発管)
子どもや保護者のニーズ・課題を聞き取り、どのような支援をするか方針を示す。管理者と兼任の場合もある。
③保育士
子どもの発達や遊びに詳しく、普段の支援の中心になる。
④児童指導員
学校や児童福祉の仕事の経験があり、普段の支援の中心になる。
⑤理学療法士(PT)
歩行や姿勢、運動など、体を動かすことの専門家。
⑥作業療法士(OT)
指先の細かい動きや、認知機能(脳の働き)の専門家。
⑦言語聴覚士(ST)
言葉や飲み込みの発達の専門家。
⑧公認心理士(CP)
心の発達の専門家。
⑨看護師
主に、医療的ケアが必要な子どもを受け入れる施設に配置されている。服薬管理や痰の吸引など、医療的なケアを行う。
どうやって利用を始めるの?
利用開始までの大まかな流れは次の通りです。
①問い合わせ
利用したい・見学したい児発に、問い合わせをして、見学の申込をします。保護者が自分で問い合わせることもできますし、相談支援事業所の相談員にサポートしてもらうこともできます。
②見学
児発に出向き、どんな施設なのかを実際に見て確かめます。保護者だけで行くこともできますが、子どもも一緒に行ったほうが、児発が子どもに合っているか確認することができるのでおすすめです。
③障害福祉サービス受給者証の申請
お住いの市区町村の役所で、受給者証の申請を行います。申請の際には、基本的に相談支援事業所で作成してもらう「サービス利用計画」が必要ですが、自治体によっては「セルフプラン(保護者が自分で計画を立てること)」でも大丈夫なケースもあります。
④利用契約
自治体から受給者証を交付されたら、利用する児発と契約を結びます。
⑤利用開始
費用はどれくらいかかるの?
かかる費用は、利用料+実費(おやつ代、昼食代、外出活動の費用など)です。
利用料は、世帯収入によって変わります。
非課税世帯(生活保護・低所得など)…0円
世帯所得900万円まで…4,600円
世帯所得900万円以上…37,200円
ここからしばらくは、公的な福祉制度についていろいろ紹介していきます。
私が利用しているものについては、実際利用してみてどうだったか、についても書いていきたいと思います。
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