ADHD(注意欠如多動症)とは?

福祉の話

今回は、ADHD(注意欠如多動症)についてです。

ADHDの特徴は、次の3つです。
不注意…色々なことが気になって、一つのことに集中することが難しい。
多動性…次から次へと思考や行動が移っていき、せわしない。
衝動性…気になることがあると、後先考えず行動してしまう。

このような特徴があると、日常生活ではどんなことで困るでしょうか?

◎仕事や家事をしている時に、全然関係ないことが気になって集中できない。
◎忘れ物や、物をなくすことが多い。
◎ケアレスミスが多い。
◎予定や計画を守って物事を進められず、締め切りギリギリになって慌てる。
◎「やらなければいけないこと」よりも「やりたいこと」を優先しすぎる。
◎決められた手順でやる作業や、同じことを繰り返す単純作業が苦手。
◎退屈に耐えられない。常に何かをしていないと落ち着かない。
◎せっかちで気が短く、ストレスや欲求不満があると衝動的に行動してしまう。
◎気になることや今考えていることを、話さずにはいられない。
◎衝動的に余計な一言を言ってしまう。
◎気長に取り組むのが苦手で、すぐに報酬を欲しがる。
◎転職やお金にかかわることなど、重大なことをよく考えずに決めてしまう。
などなど…

ADHDではない人でも、「これは私にも当てはまる!」という項目があるかもしれませんが、このような特徴があっても日常生活にあまり支障がなければ、ADHDではありません。
上記のような特徴が多く見られ、日常生活に支障が出るレベル、かつその特徴が幼少期から見られる場合、ADHDと診断されることになります。
私もADHDの診断を受けていますが、本当に「何でそこでやらかす!?」と思わずツッコミたくなるようなミスをやらかします。
周囲のフォローのおかげで、今のところ大事には至っていませんが…

ADHDは、この3つの特徴のうち、どれが強く出ているかで3つのタイプに分けられます。

不注意優勢型…「不注意」の特性が強く表れます。
集中力が続きにくく、ケアレスミスが多い。忘れ物や紛失が多いなどの特徴があります。
周囲からは、「ボーっとしている」「ぼんやりしている」「要領が悪い」ように見えることがあります。
多動・衝動性優勢型…「多動性」「衝動性」の特性が強く表れます。
落ち着きがなくせっかち。話が止まらない。待つことが苦手などの特徴があります。
計画的に貯金をする、地道に勉強や練習を続けるといったことが苦手です。
また、相手の状況を考える前に、衝動的に動いてしまうことがあり、対人トラブルにつながることもあります。
一方で、新しいことに挑戦したり、変化・変更が多く素早い対応が必要な環境では、特性が役に立つことがあります。
混合型…「不注意」「多動性」「衝動性」すべての特徴がみられます。

ADHDも、ASDと同様にDSM5やICD10の診断基準に基づいて、病院やクリニックで診断を受けることができます。
以前は、ADHDのうち「不注意優勢型」のタイプには “ADD (Attention-Deficit Disorder)” という診断名がつくことがありましたが、現在は “ADHD (Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)” という診断名に統一されています。

ADHDの治療

現在、ADHDの根本的な治療方法はありません。
ASDと同様に、「ADHDの特性は長く付き合っていくもの」と捉えて、対応の仕方を工夫していく必要があります。

①自分の特性を知る。
②自力で対処できることは対処する。
③自力で対処できない部分は、周囲のサポートや福祉サービスなどを利用する。

幼児期~学齢期にかけては、自治体が運営している発達支援センターや児童発達支援、放課後等デイサービスで療育を受けることができます。

療育の方法としては、次のようなものがあります。

◎感覚統合
◎ソーシャル スキル トレーニング(SST)
◎ペアレントトレーニング
◎応用行動分析学(ABA)
◎TEACCHプログラム
◎ビジョントレーニング
◎コグトレ
◎脳幹トレーニング   etc…

ただひとつ、ASDと違う点は、ADHDの特性を軽減する薬があることです。
コンサータ、ストラテラ、インチュニブ、ビバンセなどいくつか種類があり、それぞれ薬が効く仕組みや副作用などに違いがありますが、どれも集中力を高めたり、衝動性を抑えたりするために処方されます。
ただし、薬の効き方には個人差があり、ADHDの特性が軽減されて楽になる人もいれば、あまり効き目がない人、副作用が強く出て日常生活に支障が出てしまう人もいます。

私の場合は、ADHD(不注意優勢型)と診断を受けてストラテラを飲んでいますが、体質に合っているみたいで、以前よりも注意散漫になることが減ったと感じています。
副作用で若干眠くなりますが、ちょうど夜眠る時間に眠気が強くなるので、昼に働いて夜に寝る生活をしているうちは生活に支障はありません。

もし、ADHDの特性が強くて生活に支障が出ている、服薬で特性を抑えられるなら試してみたい、という場合は、心療内科や精神科を受診してお医者さんに相談してみましょう。

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