今回は、障害年金について書いていきたいと思います。
発達障害に限らず、障害がある方の中には
「障害があるために、他の人と同じように働くことが難しい」
「精一杯働いているけれど、収入が少なくて生活が苦しい」
という方がいるかと思います。
そのような時に使えるのが、障害年金の制度です。
障害年金って何?
障害年金は、障害があるために仕事をして収入を得ることが難しい人が、生活に困らないよう、年金が支給される国の制度です。
ざっくりとですが、「障害があること」と「収入が少ないこと」が年金支給の条件となります。
なので、障害者手帳を持っていても、一般就労である程度収入がある人は、年金をもらうことができません。
また、収入が少なくて生活が苦しくても、医師に疾患や障害の診断を受けておらず、障害が原因だと証明できなければ、障害年金の対象にはならないので、その場合は生活保護など他の制度を利用することになります。
障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。
それぞれ、どのような違いがあるのか、手続きはどうすればいいのかなど、お伝えできればと思います。
「障害基礎年金」って何?
障害基礎年金は、日本に住んでいる20歳~65歳の障害がある人が対象になります(※年金を納めていない場合を除く)。
子どもの時から障害がある人でも、大人になってから障害を負った人でも、障害のために収入が少ないことを認められれば受け取ることができます。
受け取れる年金の種類は、次の通りです(2025年6月現在)。
◎1級…ほぼ寝たきりで、身の回りのことをするのにも介助が必要な人が対象。
支給額は1,039,625円/年(86,635円/月)。
◎2級…身の回りのことはある程度できるが、仕事をするのは難しいという人が対象。
支給額は831,700円/年(69,308円/月)。
「障害厚生年金」って何?
サラリーマンなど、雇われて働いている時期に障害を負った場合に、受け取ることができる年金です。
障害基礎年金では支給額が一律で決まっていますが、障害厚生年金では働いていた時期の年収によって支給額が変わるので、どれくらいの金額を受け取れるかは一概には言えません。
受け取れる年金の種類は、次の通りです。
◎1級…ほぼ寝たきりで、身の回りのことをするのにも介助が必要な人が対象。基準になる額(報酬比例の年金額)×1.25+配偶者の加給年金が支給されます。
◎2級…身の回りのことはある程度できるが、仕事をするのは難しいという人が対象。基準になる額(報酬比例の年金額)+配偶者の加給年金が支給されます。
◎3級…就労はできるが、障害があるために働き方に制限がある人が対象。基準になる額(報酬比例の年金額)が支給されます。
◎障害一時金…1級~3級の基準には当てはまらないが、軽度の障害が残ったことが認められると、支給されます。基準になる額(報酬比例の年金額)の2倍の額が、一度だけ支給されます。
どうやって手続きするの?
お住いの地区にある年金事務所で手続きをすることができます。
障害年金の請求ができるのは、「診断を受けるための通院・入院」の「初診日」から1年6か月以上経ってからです。
…文字で書くとよく分かりませんね。
下の図をご覧ください。

「初診日(初めてその病院を受診した日)」から1年6か月後の「障害認定日」以降に、障害年金の手続きができるようになります。
ただ、心臓の病気でペースメーカーの手術をした場合など、疾患や治療方法などによっては、1年6か月経たなくても請求できることがあります。
また、障害認定日で一度手続きをしたけれど年金をもらえなかった場合でも、「事後重症による請求」ができることがあります。
「障害認定日」では障害が軽かったけれど、その後重症化した場合、「障害が重くなったので、やっぱり年金が必要です」という手続きができる制度です。
手続きをするためには、書かなければいけない書類の数が多く、書き込む量も多いです。
⇓⇓手続きに必要な書類⇓⇓
◎年金請求書…「年金の申請をします」という申込書のようなもの。
◎戸籍謄本、戸籍抄本など…申請する人の生年月日を証明できるもの。
◎医師の診断書…「障害認定日」や「申請する時期」の障害の状態を証明するもの。
◎受診状況等証明書…「初診日」を証明するためのもの。
◎病歴・就労状況等申立書…障害が、日常生活にどう影響しているかを伝えるためのもの。
◎本人名義の通帳等…年金を振り込む口座が分かるもの。
※他にも、追加で書類が必要になる場合があります。
自力で全部の書類を用意しても良いですが、もし書類づくりが難しい場合は、社会保険労務士(以下、社労士)に依頼するのもひとつの方法です。
特に、障害年金を専門にしている社労士に依頼することができると、心強いかと思います。
また、手続きをする時には、障害について診断を受けていることを証明するために、医師の診断書が必要になります。
何年も前に診断を受けたという場合は、診断書を書いてもらうことができるか確認しておくといいかもしれません。
障害年金制度についてもっと知りたい方は、「日本年金機構」のHPをご覧ください。
障害年金は、障害によって働けずお金に困っている人が、生活を安定させるために使える制度です。
ただ、年金制度は必要としている人が自分から動かないと、受け取ることができません。
必要な制度を、必要としている人が利用できる、そんな体制が整っていくといいですね。
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