障害者手帳って、実際どうなの?~メリットとデメリット~

福祉の話

みなさんは「障害者手帳」と聞いてどんなイメージを持つでしょうか?

「名前は聞いたことあるけどよく知らない」
「障害があることの証明書?」
「障害があることをアピールしているみたい」
「もらうための手続きが大変そう」
などなど…

障害者手帳についてよく知らない方の中には、手帳に対してマイナスイメージを持っている方もいるかもしれません。

私は、発達障害(ASD、ADHD)の診断を受けて障害者手帳を持っていますが、「手帳を持っているせいで困った!」ということは一度もありません。
むしろ、障害者手帳を持っていることで色々な恩恵を受けられることが多いので、とても助かっています。

今回は、障害者手帳のメリットとデメリットについて書いていきます。

どんなメリットがあるの?

障害者手帳を提示することで、金銭面で様々な恩恵を受けることができます。

所得税や住民税が安くなる(障害者控除)

私の体感ですが、これが一番破壊力あります(笑)。

年末調整や確定申告で税金の申告をする時に、所定の欄に障害者手帳を持っていることを記載します。
そうすると、所得(その年に稼いだお金)から「障害者控除」の額を差し引くことができます。
「課税所得(所得ー障害者控除ーその他の控除)」の額に対して所得税や住民税がかかるので、障害者控除の分税金が安くなるのです。

障害者控除(上の図のオレンジの部分)の控除額は、下の表のとおりです。

しかも、障害者控除は「納税者本人が手帳を持っている」場合だけでなく、「扶養親族(配偶者や子どもなど)が手帳を持っている」場合でも使える制度なので、障害がありなかなか働けない、障害者本人に収入がないという場合でも控除を使えることがあります。

交通費が安くなる

まず、外せないのはJRですね。
切符を買う時に障害者手帳を提示すると、普通乗車券などの代金が50%になります。
「第1種障害者」「第2種障害者」という分け方があり、どちらになるかで割引される切符の種類が違います。

そして、嬉しいニュースがひとつ!
ついに、今年(2025年)4月から精神障害者保険福祉手帳も割引の対象になりました!
3月まで、JRの障害者割引が使えるのは、身体障害者手帳と療育手帳だけだったんですね。
発達障害界隈は支援制度の整備が遅れがちですが、こうやってひとつずつ進んでいってほしいです。

話が逸れましたが…

他の交通機関(飛行機、タクシー、私鉄、公営のバスや電車など)では、運営会社や自治体によって、割引制度の有無や割引の内容が違ってきます。
有料駐車場の中にも、1時間無料など割引制度が使えるところがあります。
普段使う交通機関や、旅先などで乗る交通機関については、HPなどで調べると、割引制度について知ることができます。

また、身体障害者手帳と療育手帳の場合は、高速道路の利用料金が半額になります。

収入が少ないと、交通費が安くなるだけでも外出のハードルが下がるので、上手に使っていきたいですね。

生活インフラの料金が安くなる

NHKの受信料や上下水道、携帯電話の料金などの割引を受けることができます。
割引制度の有無、対象になる手帳の種類、割引される額は、それぞれの自治体や会社によって異なります。
生活になくてはならない=お金を払わなければならないものなので、少しでも安くなると嬉しいですね。

娯楽施設などの利用料金が安くなる

博物館や美術館といった公立(国立、県立、市立など)の施設の中には、障害者割引で入館料が無料や半額になるところが多くあります。
体育館やプールでも割引制度を使えることがあるので、これからの暑い時期、プールで涼むのもいいかもしれませんね。

また、カラオケや映画館など民間の娯楽施設でも、利用料が半額になる制度を取り入れているところがあります。

調べてみたら、意外と近くに障害者割引が使えるところがあるかも…?

福祉サービスを利用するために必要なことがある

障害福祉のサービス・制度を利用するために、障害者手帳が必要になることがあります。

多くの場合は、医師の診断書などで障害があることを証明できれば、手帳が必須ではありません。

ただ、「障害者雇用」や「補装具費支給制度」など、障害者手帳を持っている人が対象の制度もあるため、手帳を持っているといざという時に慌てずに済むかもしれません。

どんなデメリットがあるの?

全員が「障害者手帳はここが嫌」と感じるような大きなデメリットはありません。
ただ、人によっては、次のようなことがデメリットと感じるかもしれません。

障害があることを、周囲の人に知られてしまう

障害者手帳の割引制度などを利用するためには、手帳を提示しなければいけません。

「障害があって生活に困っているけど、障害者手帳は取りたくない!」という人の中には、「障害者手帳を持っていると、障害があることをいろんな人に知られてしまう」ということを心配する人もいるようです。

でも、障害者手帳は「福祉制度や割引制度などを利用するための証明書」であって、「万人に見せびらかすもの」ではありません。
普段は財布の中にでもしまっておいて、必要な時だけ出せばいいんです。
障害があることを知られたくない相手や、道でただすれ違っただけの人にまで見せる必要はありません。

私も、これまで障害者手帳を使う場面が何度もありましたが、手帳を使うことで変な目で見られたり嫌な対応をされたりしたことはありません。

障害者手帳の申請手続きが大変

自治体によって、手帳の申請方法に多少違いはあるかと思いますが、私が住んでいる自治体では申請用紙1枚と医師の診断書を提出するだけでした。

ただ、障害はあるけれど手帳は持っていない(申請手続きをした経験がない)人や、文字を書くことが苦手な人にとってはハードルが高いかもしれません。
その場合は、代理人が代わりに手続きをすることもできるので、お住いの自治体に確認するといいでしょう。

また、精神障害者保健福祉手帳は、2年に1回更新が必要です。
医師の診断書も必要になるので手間はかかりますが、私の場合は「更新の手間」というデメリットよりも「福祉制度・割引制度を受けられる」というメリットのほうが圧倒的に大きいです。

療育手帳も、18歳未満の場合は2年に1回の更新が必要なようです。

次回の記事には、私が障害者手帳を使っていた感じたことなどを書いていければと思います。

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